最果ての地、稚内へ

機窓の夕日

上野発の夜行列車

前回の記事で、日本の端について長々と書いたのは、ふと思い立って稚内まで行ってきたからである。もちろん、上野発の夜行列車で向かった訳ではない。しかし、はるか昔まだ学生だった頃に、本当に上野から稚内まで列車で行ったことがある。

周遊券といって北海道内を1週間乗り放題という切符を手に、上野から急行列車で北海道に行ったのだ。周遊券は急行なら追加料金なしで乗れたので、特急は一切使わなかった。というか、使えなかった。学生の貧乏旅行だったのである。

上野を確か夜7時頃に出て、青森には翌朝早くに着く。青函連絡船で函館に渡るとすでに昼近くになっていた。当時、北海道に行く場合、必ずこの組み合わせであった。すでに北海道行きのシェアは航空機に移っていたと思うが、特急にさえ乗れない学生には高嶺の花であった。

そして、稚内まではなんと函館から直通の急行が走っていたのである。乗車時間は10時間余りで、稚内に着く頃には夜の10時を回っていた。上野を出てからすでに28時間近くが経っており、しかも、この間、夜行の部分も含めてすべて普通車自由席なのである。周遊券があれば無料で乗れたのは、あくまでも急行の普通車自由席だけだった。

当時の急行の普通車は4人がけのボックスシートで、背もたれがリクライニングする訳でもなかったが、筆者が利用した頃にはすでに空席の方が目立っており、2人組でボックス一つを占めるという使い方も可能であった。
 

今回は飛行機で

さすがに、今さらそんなことをする体力も気力もないが、そもそも、今では夜行列車自体が珍しいものになっているし、急行に至っては存在さえしていない。

というわけで、今回は当たり前だが飛行機である。旭川まではJAL便で向かって仕事を済ませた後、翌日に特急で稚内に向かった。さらに、稚内で一泊したので乗車時間は1日辺り片道3時間40分である。かつての28時間から見れば7分の1である。それでも、今時、こんな長時間の列車に乗ること自体が少なく、最果ての地まで行ってきたという感慨はあった。

旭山動物園のヒョウ


さて、旭川で一泊した翌日は午前中に打合せを終わらせ、午後からは旭山動物園に行った。この日は雪こそ降っていないものの、平年よりも気温の低い寒い日だったため、室内にいる動物も多かった。写真は数年前の夏に行ったときのものだ。

稚内に向かったのは、旭川を20時過ぎに出る特急サロベツ3号で、稚内到着は定刻でも23:47の予定。ところが、途中のどこか山の中で列車が野生動物と接触したらしく、暗くて判別できないがクマの可能性もあるので、乗務員が降りて安全点検をすることができないということで、その場に30分以上立ち往生する羽目になった。

稚内駅


稚内にたどり着いた頃には日付も変わっており、結局、40分ほどの遅延であった。駅から歩いてすぐのところにあるホテルを予約してあったので、コンビニなどに寄ることもなく直行した。

翌日はみぞれ混じりの雨模様で、前日よりもさらに気温が低く、冬のコートを着ていても凍えるような寒さであった。帰りの特急は午後1時発なので時間は十分にあったが、余りにも寒くて宗谷岬まで行くのは諦めた。下の写真は稚内駅の外に延びる線路のモニュメント。かつて、この先に連絡線の桟橋があって樺太に向かう稚泊連絡線が出ており、桟橋まで線路もつながっていたのだ。

稚内駅

 

特急サロベツ

 

特急サロベツのグリーン車


帰りはグリーン車を予約、写真の通り1列3人の革張りシートで、乗車時間3時間40分も楽々であった。車内販売などは一切ないので、飲物や必要なら食べ物をあらかじめ駅併設のコンビニで買っておくのを忘れてはならない。

夕方の5時前に旭川に戻ってきて、市内で早めの夕食を食べてから空港に向かえば、羽田行きの最終便にちょうどよい時間に空港に着く。旭川空港はラウンジがないので早めに着いても仕方がない。

今回の運賃は往復ともに特便割のクラスJで、獲得したFOPは2,760であった。今年の累計は42,368FOPで、もうすぐサファイアである。

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