羽田空港着陸時に飛行機頭痛

飛行機頭痛

Aerosinusitis

飛行機頭痛というのをご存じだろうか。主に着陸時、人によっては離陸時に起こる頭痛なのであるが、一般的な頭痛と違い、後頭部や側頭部がズキズキと痛むのではなく、前頭部から眉間のあたりにかけて急激に起きる締め付けるような頭痛である。その痛みのピーク時にはこのまま眼球が潰れてしまうのではないかというぐらい、激しく鋭い痛みになることもある。

その詳しいメカニズムは完全には解明されていないようであるが、英語では aerosinusitis といい、aeroは「飛行機の」、sinusは「空洞(ここでは副鼻腔のこと)」、-itisは「〜炎」ということで、急激な気圧の変化による副鼻腔内と外との気圧差から来る痛みであると考えられている。

着陸時、機内の気圧は徐々に上げられていくが、鼻づまりなどのせいで副鼻腔内が適切に追随できず、そこに気圧差が発生するということである。
 

羽田空港C滑走路とは相性が悪いのか

私はかつて2回だけ、この飛行機頭痛に襲われたことがある。1度目はバンコクから羽田に帰ってくるとき、C滑走路に着陸しようとしているときであった。一週間ほどの滞在の後、夜行便で数時間のそれも浅い眠りしかできず、体調としては極めてよろしくない状態であった。

東京湾上をどんどんと羽田空港に向けて降下している最中に、突然、経験もしたことのないような猛烈な痛みに襲われた。額が割れるように痛み出し、鼻の付け根のあたりを何か鋭いもので突き刺されたようにも感じ、初めてのことにおののいているうちに、眼球が押しつぶされるような感覚に変わり、顔を押さえ込むようにうずくまるしかなかった。

このまま死んでしまうのでは、とまではさすがに思わなかったが、猛烈な眼球への圧力で失明してしまうかもと本気で考えた。しかし、着陸し終えて誘導路に至る頃には痛みが噓のように、それこそ何の痕跡もなく消えていた。

2度目はその数ヶ月後、仁川からの帰りで、やはり羽田C滑走路への南側からの着陸時。往きの仁川着陸時にはなにもなかったのだが、またもや前回と同じ耐えがたいほどの前頭部の痛みが来たのだが、やはり、前回と同じように着陸後すぐに痛みは消えてなくなった。

この2回の共通点は、どちらも羽田空港のC滑走路に着陸したことである。

体調が悪いとき、鼻がつまっているときになる

そういうことが2回立て続けに起きたので、少し心配になって調べてみると、気圧差による痛みであるということが分かった。もしかしたら、着陸時の降下する角度などの問題で、羽田空港のC滑走路は相性が悪いのだろうかなどと、あらぬ疑いも抱いた。

もちろん、言いがかりである。羽田空港C滑走路への南側からの着陸ということは、木更津の方から東京湾を横断する形でゆっくりと高度を下げているはずである。

実は、2回目の時はピーチエアの超格安チケット、日帰りソウルの弾丸ツアーというやつで、夜の2時に羽田を出て、その日の23時に仁川から帰国という無茶なスケジュールであり、フライト時間も2時間強、前夜はほぼ一睡もしていない状態であった。

そう、実際の共通項は睡眠不足で体調が悪いという点であった。更に、私は鼻がつまりやすく、乾燥している機内に数時間いると、ほぼ100%の確立で鼻や耳の調子が悪くなる。鼻がつまることで副鼻腔への外気の通り抜けが阻害され、気圧差が解消されずに激しい痛みとなるのである。

以来、飛行機が着陸態勢に入ると、鼻づまりの解消を図る、これが必須の作業となっている。経験したことのある人にとっては恐怖以外のなにものでもない飛行機頭痛であるが、これでもう羽田空港C滑走路も怖くない。繰り返すが、C滑走路は冤罪である。

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