プレエコの積算率が70%だとどうなるか

JALのプレミアムエコノミー

プレミアムエコノミーの予約クラスE

JALの海外発券というとよく言及され、実際、筆者も何度か利用したことのあるのが、クアラルンプールからのプレミアムエコノミーである。また、前回の記事ではシドニーからのプレミアムエコノミーも取りあげた。

ここでエコノミーでもビジネスでもなく、プレミアムエコノミーが主な対象となるのにはいくつかの理由があるが、その主たるものは100%という高いマイル積算率であろう。

エコノミークラスは積算率が30%か、50%でもボーナスポイントの400FOP加算がないものであることが多いので、プレエコの価格がエコノミーの2倍から3倍であったとしても、単価ではプレエコの方がよくなる。ビジネスクラスなら125%加算で積算率はよくなるが、当然だが価格差の方がはるかに大きい。

前回取りあげたクアラルンプールとシドニーからの海外発券で比較してみると、クアラルンプール発はプレエコとエコノミーの価格差が2倍以下しかない。単価もプレエコの方が2円以上よくなるので、エコノミー5万円弱に対して、プレエコが8万強という予算さえ許容できるなら、積極的にエコノミーを選ぶ理由はないであろう。

反対に、シドニー発はエコノミーが非常に安く設定されていて、諸費用込みで5万円以下となっている。したがって、単価の比較でもエコノミークラスの方が1円以上よくなっている。しかし、獲得できるFOPがプレエコ15,390に対して、エコノミーは7,294FOPしかなく、効率という点では見劣りしてしまう。
 

ビジネスクラスへのアップグレード

また、プレミアムエコノミー運賃はマイルを使ったビジネスクラスへのアップグレードの対象運賃であるというところも、マイル修行でよく選ばれる理由の一つである。クアラルンプール線は片道2万マイル、シドニー線でも2万5千マイルでアップグレードできる。しかも、多くの場合、ディスカウントやマイルバックのキャンペーンを行っていて、もう少し少ないマイル数で済む。

当然のことながら、エコノミークラスのディスカウント運賃がアップグレードの対象クラスになっていることはない。可能な限り単価を下げて安く済ませたいというのであれば、シドニー発のエコノミークラスということになるが、せっかくなので、少しは贅沢をとビジネスクラスにアップグレードするという考え方もある。

プレエコ運賃といえども、日本発だと決して安いとは言えない金額になってくるので、中々利用する機会も多くはない。そこを海外発券で安くプレエコにできるのだから、さらにマイルで一つ上のクラスにするというのは十分検討に値するプランである。
 

予約クラスEの取扱い変更

さて、海外発券であれ、普通に日本発であれ、プレミアムエコノミーのバーゲン運賃を選ぶと、予約クラスがEになっていることが多い。少なくとも、筆者がこれまでに利用したものはすべて予約クラスEであった。

この予約クラスEというのが、現時点ではマイル積算率100%かつアップグレード対象運賃ということなのだ。バーゲン運賃でありながら、フルプライスのエコノミー料金Yと同じ扱いというのが、正に狙い目のお得な運賃だったわけである。

ところが、この予約クラスEの取扱いの変更が予告されている。まず、今年2020年10月1日搭乗分から、マイル積算率が70%に引き下げられる。マイル積算率が下がるということは、それに基づく獲得FOPも下がるということだ。さらに、来年2021年2月1日からはアップグレード対象運賃からも外れるのだ。

つまり、海外発券で安いプレエコを買ったり、日本発のバーゲン運賃でプレエコを選んだ場合、これまでよりも獲得FOPは低くなるし、ビジネスクラスへのアップグレードもできなくなる。ということは、上に書いたような、海外発券でプレミアムエコノミーが選ばれる主な理由の二つが消滅するということである。

仮に、今の販売価格とレートのままで、100%加算と70%加算ではどれぐらい単価に差が出るか比較してみよう。

  • クアラルンプール発(100%) : 81,000円 / 10,814FOP = 7.49円@FOP
  • クアラルンプール発(70%) : 81,000円 / 7,810FOP = 10.37円@FOP
  • シドニー発(100%) : 126,000円 / 15,390FOP = 8.19円@FOP
  • シドニー発(70%) : 126,000円 / 11,012FOP = 11.44円@FOP

このように、どちらも単価が10円を上回ってしまうのだ。そんなに悪くないとはいえ、単価12円まで許容できるなら、例えば、マレーシア航空のビジネスクラス利用も視野に入ってくるのだ。

そもそもが余りにも優遇されていた、言わば制度の抜け穴のような予約クラスだったので、このような適正化は仕方のないところであろう。プレミアムエコノミー席は空港で当日アップグレードを募集していることがよくあるが、ということは、プレエコで予約をしてビジネスにアップグレードする人がそれだけ多いということなのであろう。

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