アラスカ航空がワンワールド加盟へ

アラスカ航空

Oneworldの最近の動向

3大航空アライアンスの内、もともと加盟会社の数がいちばん少ないワンワールド。就航都市や保有機材の多さではスターアライアンスに次いで2番目の地位にあるが、加盟社数ではスターアライアンスの半分以下、後からできたスカイチームよりも少なく、とにかく加盟メンバーについては暗い話の方が圧倒的に多い。

1年ほど前には、カタール航空が、名指しで他のアライアンスメンバーを非難して脱退を仄めかすという状況がずっと続いていた。
どのアライアンスにも属さない独立系エアラインの多い中東において、ロイヤルヨルダン航空と並んでカタール航空が属しているというのは、スターアライアンスと比べたときのワンワールドの大きなメリットの1つであるだけに、その成り行きは注目されていた。

また、南米随一のLATAM航空グループが今年の5月で脱退してしまう。スカイチームの主要メンバーであるデルタ空港に引き抜かれた感じである。
通常、アライアンスから抜けるには利用客への影響の大きさなどを考慮して、1年程度の猶予を設けることが多く、事実、LATAMも今年の10月頃とアナウンスされていたのが、突然、予定を早めて5月には離脱してしまうことが発表されている。

 

キャセイパシフィックとマレーシア航空

また,確定事項ではなく、ニュースや噂といったレベルであれば、キャセイパシフィックがスターアライアンスに移籍する可能性も長らく取り沙汰されているし、不運な2つの事故のため経営不振に陥っているマレーシア航空に対して、スカイチームのエールフランス・KLMが株式の49%取得という大型出資を目指しているという。

もし、キャセイパシフィックとマレーシア航空が去ってしまえば、ワンワールドのアライアンスとしての魅力は半減してしまうだろう。
とくに、アジアの一員である日本人にしてみれば、ただでさえ、ANAの参加するスターアライアンスが強いという状況に拍車がかかってしまう。スターアライアンスがいかに魅力的であろうとも、他に選択肢がないというのは健全な競争という観点からは望ましいことではない。

 

去るものもあれば来るものもあり

しかし、辞めていくエアラインがある一方で、新たに参加するパートナーもないわけではない。

まず、2018年12月にフィジーエアウェイズがコネクトパートナーとして参加。マイレージやラウンジの相互利用などについては制限がかかるが、優先搭乗と優先チェックインはワンワールド全加盟会社が対象となる。
JALのエリートメンバーにとってはラウンジ利用の対象とならないというデメリットがあるものの、コードシェアを行っているので、JAL便名で予約すれば、マイルとFOPの積算、優先チェックインと優先搭乗は対象となるはずである。

また、今年の4月にはワンワールド初のアフリカの加盟メンバーとして、ロイヤル・エア・モロッコが正式なメンバーとして参加する。
小さめの機材が多く、どちらかというとアフリカ内のサービスがメインの航空会社ではあるが、アフリカとヨーロッパは距離的にも経済的にも近く、ロンドンやパリといった主要都市への便はそこそこ飛んでいるし、アメリカとカナダへの直行便もあるようだ。
日本人にとってアフリカは遠く、中々利用する機会がないようにも思われるが、カサブランカ - ニューヨーク(JFK)便などを利用すれば、ワンワールド世界一周航空券の経路に変化をつけることもできるだろう。

 

アラスカ航空

そして、今回発表されたのがアラスカ航空のワンワールド入りである。まずはアメリカン航空との提携を段階的に強化してゆき、その最終段階として来年夏にはワンワールドに加盟する予定ということだ。

アラスカ航空 アメリカン航空 ワンワールド

アラスカ航空はシアトルを筆頭にアメリカ西海岸の各都市から、アラスカ、ハワイ、アメリカ東部、カナダ、メキシコ、コスタリカなどを結んでおり、これも日本人がそうそう使う路線ではないものの、たとえば、ロイヤル・エア・モロッコのカサブランカ - ニューヨークにつなげる形で、シアトル、ホノルルと経由する世界一周航空券などは魅力的かもしれない。

 

航空アライアンスの将来

アラスカ航空の加盟が来年夏であるのに対して、LATAMの脱退は今年の5月と、まだしばらく、ワンワールドのステータスメンバーにとっては冬の時代ともいうべき状況が続くが、そもそも、JALはアライアンスの枠組みを超えて個別に提携を結んでいく方向性が強く、実際、アラスカ航空との個別提携も結ばれていたし、ハワイアン航空とのパートナーシップも強めていっている。

また、LCCの台頭でアライアンスに属さない航空会社の割合が高まる一方で、今回の新型コロナウィルスの問題のように、外的な要因で航空業界の再編が余儀なく進むこともあるだろう。生き残りをかけたような状況では、アライアンスを超えた買収劇なども起こりうる。

そうなってくると、三大航空アライアンスの将来も安泰というわけではなく、とりわけ、加盟航空会社数のいちばん少ないワンワールドなどは、もっとも先行きの不透明なアライアンスということになるのかもしれない。

しかし、とにかく安価に旅をしたいというような需要はともかくとして(まあ、これが一大勢力ではあるのだが)、ある程度の高いサービスに対価を払ってでも快適に出張したいという需要にこそ、フルサービスのキャリアの存在意義はあるのであり、ラウンジや優先サービスの相互利用、ステータスポイントの積算などの関係で、アライアンスの正式メンバーが多いに越したことはない。

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